――日本酒の伝統と可能性

自社内の今は使われていない貯蔵タンク

青木家の3人姉弟の長女として育ったものの、酒造りのことはまったく分からず看護師として働いていました。社会人になって2年が経った頃、母から「蔵を手伝ってみない?」と電話が来たんです。父も60歳を過ぎ、長男である弟は当時まだ高校生、次女はお酒にあまり興味がなさそうでしたし、「わたしがやるしかない!」と、その翌日には看護師長に退職することを話に行きました。弟が8代目、わたしは7.5代目のつもりです。

2013年には新たな杜氏も迎え、2015年には設備も一新。そのタイミングで蔵に戻り、国税局の滝野川で行われていた清酒製造技術講習全国の酒造業の若人と参加、その後専務に就任。まさに青木酒造にとって転換期でした。「御慶事 純米吟醸 ひたち錦」が、2015年に日本酒の出品数最多の市販酒コンテスト「SAKE COMPETITION 2015」で純米吟醸部門、第3位に入賞。そして2016年には、IWC (インターナショナルワインチャレンジ) SAKE部門 純米吟醸カテゴリーで最高位となるトロフィー賞を受賞、さらにU.S. National Sake Appraisal (全米日本酒歓評会) 吟醸部門で、最高位のグランプリ受賞。でも、「御慶事ってどこの酒…?青木酒造ってどこの酒蔵…?」と言われてばかりでした。

茨城新聞に掲載されました。 http://kitakan-navi.jp/archives/27106

その後は、酒造りの研鑽を積みながら、「青木酒造といえば御慶事、御慶事と言えば青木酒造」と認識してもらうために奔走する毎日。女性が手に取りやすいようなラベルのデザインを提案したり、全国の試飲会に足を運んでPRしたり、SNSを使って情報発信をしたり…。さらには酒造りの現場仕事を学ぶようにもなりました。

伝統や歴史は重んじながらも、日本酒の新たな可能性を模索しています。若い方や女性にも、ぜひ日本酒を選んでもらいたい。そして、ご年配の方々にも新しい日本酒のかたちを楽しんでほしい――それが、今いちばんの願いです。

青木酒造株式会社 専務取締役 青木知佐